判断・比較

teppayが10月20日開始。Suicaの2万円上限はそのまま、どう使い分ける?

JR東日本がモバイルSuicaのコード決済「teppay」を10月20日に始める。「2万円を超える買い物ができる」のはSuicaとは別のteppay残高で、改札やタッチ決済のSuicaは2万円上限のまま。使えるお店も違い、残高はSuicaへ一方通行でしか移せない。家族に送った残高がそのままSuicaになる送金の使い道と、PayPayやビューカードのSuicaチャージとのポイント還元率の比較から、誰がどう使い分けるかを整理する。

JR東日本は10月6日、モバイルSuicaのアプリで使えるコード決済「teppay(テッペイ)」を10月20日11時以降、順次始めると発表した。モバイルSuicaのアプリを使っている人には、アプリの更新で機能が自動で追加される。

発表の見出しは「Suica利用は2万円というこれまでの当たり前を超えます」。ただ、改札やお店の端末にタッチして払うSuicaの上限が上がるわけではない。この記事では、teppayで何が変わり何が変わらないのか、Suicaや今使っているPayPayなどとどう使い分ければいいのかを整理する。

先に結論

teppayは、Suicaのアプリの中に「もう1つの財布」が増えるサービスだ。 タッチで払うSuicaの残高(交通系IC残高)は、これまでどおり上限2万円のまま。2万円を超える買い物ができるのは、別に管理される「teppay残高」を使ったコード決済だけになる。

使い分けは次のように考えるといい。

  • teppayが役に立つのは、家族への交通費の送金、2万円を超える買い物、Suicaが使えないSmart Code加盟店の3つ。 特に送金は、送られたteppay残高をそのままSuicaにチャージして改札を通れる。子どもや家族に交通費を渡す使い方に向いている。
  • ビューカードでモバイルSuicaにチャージしている人は、Suicaが使えるお店なら今までどおりSuicaでいい。 チャージで1.5%のJRE POINTがつくが、teppayのビューカード連携払いは1%、teppay残高払いは0.5%で、teppayのほうが還元率は低い。
  • 基本還元率だけなら、PayPayとteppayは同じ。 残高払い0.5%、自社カード払い1%だ。PayPayには利用条件を満たすと翌月+0.5%になる仕組みがあるため、還元率だけでteppayへ乗り換える理由にはなりにくい。使えるお店もPayPayのほうが多い。

注意したいのは、残高の移動が一方通行なことだ。teppay残高からSuicaへはチャージできるが、Suicaの残高をteppay残高に戻すことはできない。teppay残高を銀行口座やATMに出金することもできない。

何が始まる?

項目 内容
開始日 2026年10月20日(火)11時以降、順次
使うアプリ モバイルSuica(モバイルPASMOは2027年春の予定)
支払い方法 お店でバーコードを見せる、またはお店のQRコードを読み取る
使えるお店 JR東日本グループの商業施設、teppayマークのあるお店、JCBのコード決済の仕組み「Smart Code」のマークがある全国170万か所以上
チャージ方法 ビューカード、銀行などの金融機関、現金(セブン銀行・ローソン銀行のATM)、ほかのユーザーからの受け取り
支払いの上限 マイナンバーカードで本人確認するとteppay残高で最大30万円。ビューカード連携払いはカードの利用限度額まで
ポイント teppay残高払いは0.5%のteppayポイント、ビューカード連携払いは1%のJRE POINT

ネットショッピング用に、teppay残高で払える「teppay JCBプリカ」もアプリの中で発行できる。国内のJCB加盟店で使える。

teppayを使い始めるには、モバイルSuicaの改定された利用規約と、teppayの会員規約への同意が必要になる。iPhoneのウォレットにSuicaを入れているだけで、Suicaアプリに会員登録していない人は、アプリでの会員登録が先に必要だ。

「2万円の壁を超える」の中身

Suicaのアプリの中で、残高が2つに分かれると考えると分かりやすい。

交通系IC残高(今までのSuica) teppay残高
電車・バス 乗れる 乗れない
払い方 端末にタッチ バーコード・QRコード
残高の上限 2万円 最大30万円
家族や友人に送る できない できる
もう一方の残高へ移す teppay残高へは移せない 交通系IC残高へチャージできる
出金 — できない

JR東日本の発表にある「2万円を超えるお買いもの」は、右の列の話だ。ホテルや百貨店、家電量販店などで、コード決済なら2万円を超えて払えるようになる。

左の列は何も変わらない。改札を通るのも、コンビニでタッチして払うのも、今までの2万円上限のSuicaのままだ。

Suicaが使えるお店とteppayが使えるお店は違う

JR東日本は、プレスリリースの注記で「Suica等の交通系電子マネーが使えるお店と、teppayが使えるお店は異なります」と書いている。

交通系電子マネーが使えるお店は全国約235万店(2026年8月末時点)、teppayが使えるSmart Code加盟店は全国170万か所以上(2026年3月末時点)だ。数え方の時点も単位も違うので単純には比べられないが、「Suicaが使えたからteppayも使える」とは限らない。

Smart Codeの「使えるお店」一覧には、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンのほか、ウエルシア薬局やスギ薬局などのドラッグストア、オーケーやイトーヨーカドーなどのスーパー、ヤマダデンキやケーズデンキ、ニトリなどが並ぶ。ただし多くに「一部ご利用できない店舗があります」と注記がついている。よく行くお店で使えるかは、店頭のSmart Codeマークかteppayマークで確かめるのが確実だ。

ポイントで比べると、Suicaのほうが高い場合がある

ポイント還元率を、よくある払い方と並べるとこうなる。

払い方 還元率
ビューカードでモバイルSuicaにチャージして、Suicaで払う 1.5%(チャージ時のJRE POINT)
teppay・ビューカード連携払い 1%(JRE POINT)
ビューカードで普通にクレジット払い 0.5%(JRE POINT)
teppay残高払い 0.5%(teppayポイント)
PayPay残高払い(PayPayステップの基本付与率) 0.5%
PayPayカードで払う(同) 1%

PayPayは、月30回以上かつ合計10万円以上払うと翌月に0.5%上乗せされる。また2026年6月2日以降、本人確認(eKYC)を済ませていないと、すべての決済がポイント付与の対象外になった。

この表から分かることは2つある。

1つ目は、ビューカードを持っていてSuicaが使えるお店なら、Suicaのほうが還元率が高いことだ。モバイルSuicaへのチャージで1.5%がつくので、teppayのビューカード連携払い(1%)に切り替えると下がる。teppayに切り替える意味があるのは、Suicaが使えないお店や、2万円を超える会計のときになる。そうしたお店では、ビューカードで普通にクレジット払いする(0.5%)より、teppay経由で払う(1%)ほうが高い。

2つ目は、PayPayとteppayの基本の還元率が同じことだ。残高払いはどちらも0.5%、自社グループのカードで払うとどちらも1%になる。PayPayには条件を満たすと翌月+0.5%になるPayPayステップもある。teppayを選ぶ理由は、還元率ではなく、Suicaとの組み合わせにある。

サービス開始を記念して、2026年11月4日から12月25日まで、エントリーしてteppayで500円以上払うと20%分のteppayポイント(期間限定)がつくキャンペーンがある。上限は1人5000ポイントなので、上限まで受け取るには期間中に合計2万5000円払うことになる。Suicaへのチャージ、定期券・グリーン券・おトクなきっぷの購入などは、このキャンペーンの対象外だ。

teppayが向いている使い方

家族に交通費やお小づかいを送る

teppay残高は、電話番号、teppay ID、QRコード、URLのどれかで相手に送れる。受け取った側は、その残高をそのまま自分のSuicaにチャージできる。

PayPayなどでも送金はできるが、受け取ったお金を同じアプリの中で電車やバスに乗るためのSuica残高にできるのがteppayの違いだ。2027年春にモバイルPASMOが対応すると、SuicaとPASMOのユーザーの間でも送り合えるようになる。

ただし、受け取った残高は出金できず、いったんSuicaにチャージした分はteppay残高に戻せない。送る側はその前提で金額を決めたい。

2万円を超える買い物

家電や宿泊のように会計が2万円を超えるとき、これまでのSuicaでは払えなかった。teppayなら、ビューカードを連携すればカードの利用限度額まで、ビューカードがなくてもマイナンバーカードで本人確認すれば残高から最大30万円まで払える。

ビューカードを持っていない人にとっては、銀行口座などから先にチャージする手間がかかる。その場合、手持ちのクレジットカードで直接払うのと比べて得になる点は少ない。

Suicaが使えないSmart Code加盟店で払う

Smart Codeのマークはあっても、交通系電子マネーには対応していないお店では、これまでSuicaのアプリでは払えなかった。teppayならアプリを切り替えずに払える。ビューカードを持っている人なら、ビューカードで普通にクレジット払いする(0.5%)より、teppayのビューカード連携払い(1%)のほうが還元率は高い。

定期券やきっぷを買う

teppay残高でモバイルSuica定期券やグリーン券、えきねっとのきっぷを買える。キャンペーンとして、2026年11月4日から2027年1月29日まで、teppay残高でモバイルSuicaの通学定期券を新規・継続購入すると2000ポイントがつく。

今の状況ごとの判断

今の状況 判断
Suicaを電車とコンビニで使うだけ 何もしなくていい。teppayを使わなくても今までどおり使える
ビューカードでモバイルSuicaにチャージしている Suicaが使えるお店ではSuicaのまま。Suicaが使えないSmart Code加盟店や2万円超の会計でteppay連携払いを使う
家族に交通費やお小づかいを渡したい teppayの送金が合う。出金できず、Suicaへの一方通行である点に注意
PayPayを毎日使っている 基本還元率は同じで、PayPayには翌月+0.5%の仕組みもある。乗り換える理由は薄い。キャンペーン期間だけ試す選択はある
ビューカードを持っておらず、高額の買い物に使いたい 本人確認と事前チャージが必要。普段のクレジットカードで払うのと比べて決める

現時点で分からないこと

  • 本人確認をしない場合の支払い上限。 発表と公式サイトにあるのは「本人確認で最大30万円」だけで、本人確認なしでいくらまで払えるかは書かれていない。
  • 通常ポイントがつかない支払い先。 JR東日本は「ポイント付与のない利用箇所もございます」としているが、通常の0.5%について、Suicaへのチャージや定期券購入などの扱いは確認できない。なお、11月4日からの20%還元キャンペーンでは、Suicaへのチャージ、定期券・グリーン券・おトクなきっぷの購入などは対象外と明記されている。
  • ビューカードでteppay残高にチャージしたときのポイント。 新規入会キャンペーンではチャージも10%還元の対象になっているが、通常時の扱いは公表されていない。
  • オートチャージ。 JR東日本は「teppay残高へのオートチャージサービスなどの追加を検討」としており、提供時期は決まっていない。

結局どうする?

teppayが始まっても、Suicaの使い方を変える必要はない。電車に乗るのも、タッチで払うのも、2万円上限のSuicaのままだ。

teppayは、Suicaでは足りなかった場面を埋めるためのものと考えるといい。家族への交通費の送金、2万円を超える会計、Suicaが使えないお店の3つだ。特に送金は、送った残高が相手のSuicaになって改札まで使える。ビューカードを持っているならSuicaへのチャージ1.5%を基本にして、teppayはその3つの場面で使う。PayPayをメインにしている人は、基本還元率が同じでPayPayには上乗せの仕組みもあるので無理に乗り換える必要はなく、11月からの20%還元キャンペーンで試してみるくらいでいい。


出典

一次情報

報道

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