判断・比較

新しいFire TV Stick 4Kは誰向け? 4K Maxとの差1,000円で変わることと、プライム感謝祭まで待つかの判断

9月30日に出た新Fire TV Stick 4Kは、名前は「4K」でも中身は4K Selectに近い。Dolby Visionに対応せず、Vega OSでDiXiM Playなども使えない。4K Maxとの違い、今持っている機種ごとの買い替え判断、プライム感謝祭の5,980円を待つべきかを整理する。

Amazonが9月30日、新しい「Fire TV Stick 4K」を発売した。価格は1万1980円で、テレビのUSBポートから電源を取れる細いスティック型になった。10月中旬のプライム感謝祭では、プライム会員なら5,980円で買える。

買おうか考えている人が知りたいのは、今のFire TVから買い替える意味があるか、上位の4K Maxとどちらを選ぶか、そしてセールまで待つべきか、だと思う。

先に結論

新しいFire TV Stick 4Kは、旧Fire TV Stick 4Kや4K Plusの単純な上位後継というより、4K Selectに近い性格のモデルだ。OSはAndroidベースではない「Vega OS」で、映像はDolby Visionに対応しない。

向いているのは、4Kテレビを持っていて、今は4K非対応のスティックやテレビ内蔵のアプリで見ている人だ。使うのはNetflix、YouTube、TVerなどの主要な配信アプリだけで、テレビがDolby Visionに対応していないか、こだわらない人に合う。買うならプライム感謝祭の5,980円を待ったほうがいい。

向いていないのは、Dolby Vision対応テレビを持っている人、DiXiM Playでレコーダーの番組を見ている人、アプリを手動で入れて使っている人だ。今Fire OSの4Kスティックを使っている人にとっても、買い替える理由は薄い。

通常価格どうしで比べると、4K Maxとの差は1,000円しかない。セール価格でないなら、Dolby VisionやFire OSを使いたい人は、1,000円足して4K Maxを選ぶ余地が大きい。

何が出た?

項目 新Fire TV Stick 4K
価格 11,980円(プライム感謝祭では会員限定5,980円)
発売 2026年9月30日
OS Vega OS
映像 最大4K/60fps。HDR10、HDR10+、HLG。Dolby Visionは非対応
音声 Dolby形式の音声をHDMIでそのまま送るパススルー
性能 クアッドコア1.7GHz、ストレージ8GB、メモリ1GB(AFTVnewsによる)
通信 Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3
電源 USB-C。テレビのUSBポートから給電でき、電源アダプターは付属しない
同梱品 本体、新しいFire TVリモコン、USB電源ケーブル(0.4m)、単4電池2本、スタートガイド

同梱のリモコンは形が新しくなり、好きなアプリを割り当てられるカスタムボタンが付いた。リモコン単体は2,980円で、10月22日に出荷予定だ。バックライトと「リモコンを探す」機能が付いた上位版の「Fire TVリモコンPlus」は、2027年に発売予定とされている。

プライム感謝祭の日程は次のとおり。

  • 先行セール:10月13日0時〜10月15日23時59分
  • 本番:10月16日0時〜10月19日23時59分

名前は「4K」でも、中身は4K Selectに近い

Amazonの日本の発表は、新モデルを「4K Selectに比べて高速化」したモデルと説明している。米国では、新モデルが4K Selectと4K Plusの両方を置き換え、スティックのラインアップはHD、4K、4K Maxの3つに整理される。日本でのラインアップ整理は発表されていないが、家電量販店のソフマップでは、4K Plusがすでに「在庫限り」の表示になっている。

Fire TV専門メディアのAFTVnewsによると、新モデルのチップは4K Selectとほぼ同じで、メモリは1GBだ。4K Plusの2GBの半分にあたる。また、2018年に「Fire TV Stick 4K」の名前が登場して以来、Dolby Visionに対応しない初めてのモデルになる。

4Kスティックを並べると、違いは次のようになる。価格はAmazon.co.jpの通常価格で、2026年8月の価格改定後のものだ。セールや時期によって変わる。

新Fire TV Stick 4K 4K Select 4K Plus 4K Max(第2世代)
通常価格 11,980円 10,980円 12,980円 12,980円
OS Vega OS Vega OS Fire OS Fire OS
Dolby Vision × × ○ ○
メモリ / ストレージ 1GB / 8GB 1GB / 8GB 2GB / 8GB 2GB / 16GB
Wi-Fi Wi-Fi 6 Wi-Fi 5 Wi-Fi 6 Wi-Fi 6E
テレビのUSBから給電 公式に対応 公式には非対応 公式には非対応 公式には非対応

速さについては注意がいる。報道で見かける「20〜40%速い」という数字は、Amazonが他社の同価格帯の4Kスティックと比べた値で、4K Selectと比べた値ではない。4K Selectからどれだけ速くなったかは、数字が公表されていない。

付属品も減った。日本で販売されている4K Plusには電源アダプターとHDMI延長ケーブルが付いていたが、新モデルにはどちらも入っていない。テレビのUSBポートから給電する前提の設計で、Amazonは、テレビに電力不足の警告が出たり映らなかったりする場合は取扱説明書の方法を試すよう案内している。テレビのUSBポートが出せる電力はポートごとに違うので、うまくいかない場合は別のポートか、手持ちのUSB電源アダプターを使うことになる。

4K Maxとの1,000円差で変わること

通常価格で選ぶなら、比べる相手は4K Maxになる。1,000円を足すと、次のものが付いてくる。

  • Dolby Vision:Dolby Vision対応テレビで、NetflixやDisney+などの対応作品をその形式で見られる。新モデルではHDR10やHDR10+での再生になる
  • Fire OS:アプリを手動でインストールできる。後で説明するDiXiM Playのように、Vega OSに対応していないアプリも使える
  • メモリ2GB・ストレージ16GB:アプリを多く入れたときや、切り替えたときの余裕が違う
  • Wi-Fi 6E:6GHz帯に対応したルーターがあれば、混み合いにくい電波で通信できる

逆に新モデルにしかない利点は、テレビのUSBポートから公式に給電できることと、本体が細くてほかのHDMIケーブルと干渉しにくいことだ。

テレビがDolby Visionに対応しているかどうかは、テレビの仕様表で確かめられる。対応していないテレビなら、Dolby Visionの差は関係なくなる。

音声は、Dolby Atmosで使われる形式(E-AC-3 JOC)を含め、Dolby形式の音声をデコードせずにHDMIでそのまま送る仕様になっている。Atmos対応のサウンドバーやテレビにつなげば、デコードは受け側が行う。テレビとの組み合わせによって実際にどう再生されるかは、今回の発表だけでは判断できない。

Vega OSで困るのはどんな人?

Vega OSは、AmazonがFire TV向けに作ったLinuxベースのOSだ。従来のFire OSはAndroidがベースだったので、Androidのアプリを手動で入れる「サイドロード」ができた。Vega OSではそれができない。開発者モードはあるが、テスト用に作ったVega向けのアプリを入れるためのもので、Androidのアプリは動かない。

主要な配信アプリは使える。同じVega OSの4K Selectの商品ページでは、Prime Video、Netflix、YouTube、TVer、U-NEXT、ABEMA、Hulu、ディズニープラス、NHKプラスなどへの対応をうたっている。米国の報道によると、Amazonは、Vega OS向けのアプリが2,000本以上増え、SpotifyやVLCも加わったとしている。

一部のアプリは「クラウド版」で提供されている。Amazonの開発者向け資料によると、Fire OS向けのアプリをAWS上で動かし、メニューなどの操作画面をVega OSの端末に送る仕組みだ。動画そのものは、端末が配信元から直接受け取って再生する。対象のアプリはストアの詳細に「Amazon cloud-hosted app」と表示される。開発元がVega OS版を出せばアップデートで置き換わるが、そのときクラウド版のアプリデータは引き継がれない。

日本で困りやすいのは、レコーダーの録画番組を見るアプリだ。nasneやレコーダーの番組をテレビで見るのに使われる「DiXiM Play」について、開発元のデジオンは、Vega OSとは互換性がなく、対応の見通しも立たないと案内している。Vega OSの端末ではストアに表示されず、インストールもできない。

自分が使っているアプリが対応しているかは、各サービスの対応機種ページで確かめるのが確実だ。

今持っている機種ごとの判断

今使っているもの 判断
Fire TV Stick 4K(第2世代)、4K Plus、4K Max 買い替える理由は薄い。Dolby Vision、メモリ、サイドロードを失い、得るのはUSB給電と細さくらい
4K Select 大きな差はない。Wi-Fi 6になることと、USB給電が公式になる程度。速さの差は数字が出ていない
4K非対応のFire TV Stick、テレビ内蔵アプリ(4Kテレビで使用) 候補になる。ただしDolby Vision対応テレビなら4K Maxも比べる
フルHDテレビ 今のテレビで見るだけならFire TV Stick HDで足りる。セールで新4Kとの価格差が小さければ、将来の4Kテレビへの買い替えも含めて比べる

DiXiM Playを使っている人やアプリを手動で入れている人は、どの行に当てはまっても4K MaxなどFire OSのモデルを選ぶことになる。

プライム感謝祭まで待つ?

新モデルを買うと決めているなら、待ったほうがいい。発表どおりなら、10月13日からの先行セールで、通常価格の半額の5,980円になる。急ぎでないなら、2週間待つだけで6,000円安くなる。

5,980円なら、4K Selectの発売時の価格(7,980円)より安い。Dolby VisionとFire OSが要らない人には、4Kテレビ用として手頃な選択肢になる。

一方で、4K Maxや在庫限りの4K Plusがプライム感謝祭でいくらになるかは、10月1日時点では発表されていない。Dolby VisionやDiXiM Playが必要な人は、セールの価格が出てから4K Maxと比べればいい。

現時点で分からないこと

  • 4K Selectと比べて、実際にどれだけ速くなったか。Amazonは他社製品との比較しか数字を出していない
  • 4K Maxと4K Plusの、プライム感謝祭での価格
  • 新しいFire TVリモコンを単体で買ったとき、既存のどのFire TVで使えるか。単体の販売ページで確認が必要
  • 米国で新モデルとあわせて案内されているAlexa+が、日本でいつ使えるか

結局どれを買う?

新Fire TV Stick 4Kが向く人

主要な動画配信サービスを見るのが中心で、Dolby VisionやAndroidアプリのサイドロードは要らない人。テレビ周りの電源ケーブルを減らしたい人にも合う。買うなら、急ぎでなければプライム感謝祭の5,980円を待ちたい。

4K Maxが向く人

Dolby Vision対応テレビを使っている人、DiXiM Playやサイドロードが必要な人、アプリを多く入れたい人。通常価格では新4Kとの差が1,000円なので、新4Kを考えている人にとっても比較対象になる。

今のFire TVをそのまま使ってよい人

すでに4K Plus、4K Max、Fire TV Stick 4K(第2世代)を使っていて困っていない人。新型のUSB給電や細い本体に魅力を感じなければ、急いで買い替える理由は薄い。

今回の新型で大きく変わったのは、「4Kが見られること」より、Vega OSとUSB給電だ。5,980円ならシンプルな4K動画端末として魅力が出るが、11,980円なら4K Maxとの1,000円差まで見て選んだほうがいい。


出典

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