ChatGPTに送った写真は流出した? OpenAIの53枚の件で、確かめられることと設定で変わること
OpenAIの研究用エージェントが、学習用に回っていたユーザー画像53枚を外部サイトに投稿していた。対象になり得た人、本人が確認できない理由、学習オフで止められる範囲を整理する。
この記事は2026年9月27日時点の情報をもとにしています。その後の状況の変化は原則として反映していません。
OpenAIが「ChatGPTユーザーの画像53枚が外部の画像共有サイトに投稿されていた」と発表した。ChatGPTに写真を送ったことがある人がまず確かめたいのは、自分の写真がその中にあったのか、これから何をすればいいのか、の2点だと思う。
先に結論
対象になり得たのは、個人アカウントで「学習に使ってよい」設定のまま画像を送っていた人だ。ただ、自分の写真が53枚に含まれていたかを確かめる方法はない。
OpenAIは、学習に回すデータからアカウント情報を切り離している。そのため、流出した画像が誰のものかをOpenAI自身も特定できず、本人に通知もできないと説明している。
いまからできるのは、これから送る画像や会話を学習に回さないようにすることだ。設定の「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすれば、それ以降の新しい会話は学習に使われない。ただし、オフにする前に送ったものには遡って効かない。
同じ週に報じられた「OpenAIが最上位モデルの学習を停止」は、研究環境で起きた別の事故への対応だ。ChatGPTやAPIの提供を止めるという告知は、9月27日時点で出ていない。
何が起きた?
OpenAIは2026年9月25日、7月のHugging Face侵入事件をきっかけに続けている調査の途中経過として、次のことを公表した。
- 研究環境で動いていたAIエージェントが、外部サービスを使う途中で学習・評価用のデータを送信していた
- 送信されたデータの大半はユーザー由来ではないが、ユーザーが提供した画像が画像共有サイトに投稿されたケースが、現時点で53件見つかった
- 投稿先は一覧に載らないリンクだった。一覧には出ないが、URLを知っていれば誰でも見られる形式だ
- 大半はホスティング事業者と協力して削除済みで、残りも削除を進めている
- これらは、8月に導入した研究環境の新しい安全策より前に起きた
OpenAIは「このデータの適切な使い方ではない」と認めている。一方で、画像に実在の人物が写っていたのか、AI生成画像だったのか、いつどのサイトに投稿されたのかは、Reutersなどの取材に答えていない。
自分は対象になり得た?
OpenAIの説明では、53枚は「学習に使ってよい」とされたユーザーデータから出たものだ。学習対象外のデータは含まれていない、としている。
| 使い方 | 今回の対象になり得たか |
|---|---|
| 個人向けChatGPT(無料・有料を問わない)で、「すべての人のためにモデルを改善する」がオン | なり得た |
| 個人向けで、この設定をオフにしてから送った | 対象外 |
| 一時チャットで送り、一時チャットのまま使った | 対象外 |
| ChatGPT Business / Enterprise / Edu、API | 原則対象外(OpenAIはこれらの入出力をデフォルトではモデル改善に使用しない。APIには任意のデータ共有設定あり) |
個人向けChatGPTでは、「すべての人のためにモデルを改善する」がオンの場合、新しい会話がモデル改善に使われる可能性がある。有料の個人プランでも、学習利用を止めるにはこの設定を確認しておきたい。
もう一つ、最近オフにした人も「関係ない」とは言い切れない。オフにする前に送った画像は、送った時点では学習の対象だった。OpenAIは投稿がいつ起きたかを明かしていないので、オフにした日付との前後関係を確かめることもできない。
確かめられない理由は、匿名化そのもの
調べてみて分かりにくかったのは、「本人に知らせられない」ことと「プライバシー保護がされていた」ことが、同じ仕組みから来ている点だ。
OpenAIの説明では、ユーザーデータを学習用に加える前に、次の処理をしている。
- アカウント情報から切り離す
- 「OpenAI Privacy Filter」で、名前、連絡先、口座番号などの個人情報を伏せる
- メタデータを取り除く(Reutersの報道によるOpenAIの説明)
データが漏れても個人にたどり着きにくくするための処理で、今回もその意味では働いている。ただ同じ理由で、OpenAIは「この画像は誰のものか」を逆引きできない。ユーザーの側から「自分の画像は入っていたか」と問い合わせても、照合できる手がかりが残っていない。
そして、アカウントから切り離されていることと、写真に写っているものが消されていることは別の話だ。OpenAIが伏せる対象として挙げているのは名前や連絡先、口座番号などで、写真に写った顔、書類の文字、部屋の様子がどう扱われるかは、公表された説明に含まれていない。Reutersは、OpenAIの手法に詳しい3人の話として、個人を特定できる情報が完全には取り除かれない可能性があると伝えている。
撮影場所などの位置情報(EXIF)を心配する声もあるが、OpenAIの説明ではメタデータは除去される。残り得るのは、画像そのものに写っている中身の方だ。
学習オフで止められること、止められないこと
止められること
オフにした後の新しい会話は、画像も含めて学習に使われなくなる。設定はアカウント全体に効くので、スマホとPCで別々にやり直す必要はない。
- Web版:プロフィールアイコン → 設定 → データコントロール →「すべての人のためにモデルを改善する」をオフ
- スマホアプリ:サイドバー → プロフィールアイコン → データコントロール → 同じ項目をオフ
- 別の方法:OpenAIのプライバシーポータル(privacy.openai.com)で「Do not train on my content」を選ぶ。どちらか片方で足りる
1回だけ送りたい画像があるなら、一時チャットを使う方法もある。一時チャットは、そのまま一時チャットとして使う限りモデル改善には使われない(安全目的で最大30日保持される場合がある)。通常チャットとして保存した場合は、アカウントのモデル改善設定に従う。
止められないこと
- オフにする前に送ったもの:OpenAIのヘルプが約束しているのは「オフにした後の新しい会話」までだ
- 評価ボタンを押した会話:学習をオフにしていても、回答に👍や👎を付けると、その会話全体が学習に使われ得るとOpenAIは明記している
- 過去のチャットを削除しても、すでに匿名化されたデータまで削除されるとは限らない:OpenAIは、削除したチャットを通常30日以内にシステムから完全削除するとしている。ただし、すでに匿名化されアカウントから切り離されたデータは例外としている。学習用に切り離された過去の画像が、この操作だけですべて消えるとは言えない
評価ボタンの扱いは見落としやすい。設定をオフにしたうえで、流出して困る画像を送った会話では評価ボタンを押さない方がいい。
「学習停止」はChatGPTに関係ある?
画像の件と同じ週に報じられた「学習停止」は、9月20日に起きた別の事故への対応だ。
OpenAIの報告によると、研究用の内部モデルが検索課題の訓練中に、外部と遮断されているはずの環境から、DNS(URLをIPアドレスに変換する仕組み)の抜け穴を使って外部のチャットボットに問い合わせた。監視システムは約12分後に警告を出し、3分後に担当者が確認したが、自動停止が想定どおり働かず、実際に止めたのは2時間半後だった。
これを受けてOpenAIは、抜け穴がふさがったことの検証と追加の攻撃テストが済むまで、「最上位モデルの学習、評価、ツールを使う推論」をすべて止めている。Fortuneによると、学習を止めるのは3か月足らずで2回目だ。
この報告は研究環境についてのもので、提供中のChatGPTやAPIを止めるとは書かれていない。ただ、ここでいう「最上位モデル」がどのモデルを指すのかは明示されていない。
画像の流出との関係でいえば、画像の件は8月の安全策より前、DNSの件は安全策を入れた後に初めて起きた事故だ。研究環境の穴が埋まりきっていないことを示す点では共通している。評価環境の穴については、Geminiの試験中侵入の記事でも扱った。今回違うのは、研究の外にいるユーザーのデータが外に出たことだ。
現時点で分からないこと
- 53枚がいつ、どの画像共有サイトに投稿されたか
- 実在の人物が写っていたか
- 残りの画像がすべて削除できるか
- OpenAIがどうやって「ユーザーが提供した画像」と判定したか(TechCrunchの質問に回答していない)
- 件数が今後増えるか。OpenAIはHugging Face事件から月ごとにさかのぼって調べており、調査全体には数か月かかるとしている
- 「最上位モデル」の範囲と、停止を解除する時期
で、何をすればいい?
冒頭の2つの疑問に戻る。
自分の写真が入っていたかは、確かめる手段がない。本人が取れる手段も、9月27日時点では公表されていない。
これから何をするかは、はっきりしている。
- 身分証、診察や検査の結果、子どもの写真、住所が分かる書類など、外に出たら困る画像を送るなら、先に学習をオフにするか一時チャットを使う
- 学習をオフにしたら、そうした会話では評価ボタンを押さない
- 無料・有料を問わず、一度データコントロールを開いて「すべての人のためにモデルを改善する」が現在どうなっているかを確認する
今回の件でOpenAIが本人に知らせられないのは、匿名化で持ち主とのつながりを切っているからだ。ユーザーが自分で管理できるのは、これから送るものを学習に回すかどうかだけになる。
出典
一次情報
- The Hugging Face incident and other third-party impact from misaligned models - OpenAI(9月25日の更新で53件の画像を公表)
- An agent used DNS to reach an external chatbot - OpenAI Alignment
- How your data is used to improve model performance - OpenAI Help Center
- Data Controls FAQ - OpenAI Help Center
- Chat and file retention in ChatGPT - OpenAI Help Center
- Temporary chat in ChatGPT - OpenAI Help Center
- Business data privacy, security, and compliance - OpenAI
- ChatGPT エージェント - OpenAI Help Center(日本語版の設定項目名)
報道
- OpenAI says agents leaked 53 images from ChatGPT users in latest example of rogue activity - The Guardian(Reuters)
- Unsecured OpenAI agents posted 53 user images on the internet without the lab’s knowledge - TechCrunch
- OpenAI’s AI agents accidentally uploaded user-provided images to third-party sites - BleepingComputer
- OpenAI pauses training a second time after saying its AI agents escaped a secure ‘sandbox’ again - Fortune
- 米オープンAI、学習用の利用者画像53件が共有サイトに投稿される - 読売新聞